人間の口臭は生活習慣や体内環境によって臭いの有無や種類が大きく左右されます。子供の場合は、全身疾患にかかり免疫力、抵抗力が落ちると口臭は出やすくなります。また精神的なストレスがかかっている場合や、食習慣・歯磨き習慣などによっても口臭が発生します。口臭の発生しやすい状況は次のようなものがあります。
<口呼吸>
口呼吸は乳幼児期の口臭の最大の原因です。小学校就学前から小学生にかけての年齢の場合も、口臭のもっとも大きな原因は口呼吸です。つねに口呼吸によって口の中が乾燥状態に置かれると、口臭は発生します。生理的口臭の増強された状態が続くことになります。このような場合は口呼吸の原因となっている疾患の治療の方が優先されます。慢性鼻炎や副鼻腔炎、アデノイドといった耳鼻科的な疾患が多いようです。
<風邪をひいている時>
風邪などにかかっているときは、細菌やウィルスによって気道に感染が起こっているため、体全体の免疫応答が低くなっています。口腔内細菌の活動も活発となります。また発熱のあるときは口の中の温度が上昇し唾液の分泌が抑制され口臭が起きやすくなります。このような時には、まず休養して安静に努め、特に水分補給に気をつけることが大切です。免疫力、抵抗力が落ちると口臭が出やすくなる傾向があります。
<おなかの状態が悪い時>
おなかの調子が悪いときには、口臭が強くなります。消化器系の不調がガスとしてはき出す息に反映されます。子供のウンチは健康のバロメーターです。特に便秘の場合は口臭は強く出やすくなります。まずはお腹の調子を整えてあげることが大切です。
<食習慣や歯磨き習慣>
食習慣や歯磨き習慣によっては、口臭が出やすくなることがあります。年齢には関係なく次のような点に注意すれば口臭予防効果があると考えられます。
1)朝食を抜かない(少量でも朝食を取る)。
2)砂糖を含んだおやつをだらだら食べない。
3)夜寝る前、起床直後の歯磨きを励行する。
4)舌磨きは基本的に避ける。
5)歯磨き剤の使いすぎに注意する(水だけでも歯磨き効果はあります)
子どもの場合は大人のような内科的疾患による病的口臭(慢性気管支炎、胃潰瘍、肝炎、糖尿病、消化器・特に胃の不全)は殆どありません。
最近は小児の口臭を気にされる方が増加していますが、大切なことは、子どもに過剰なプレッシャーを与えないことです。成人の深刻な自臭症(口臭恐怖症)は、小児時代に母親から受けた口臭の指摘が引き金になっていることが多いと言われています。
心理的不安を与え続けると、将来自臭症になる危険性があります。いわゆるトラウマになる危険性です。小児の口臭治療では小児に与える精神的ストレスに対するフォローも大切になります。